2017年 01月 09日

手紙

今年、実家に来た年賀状の中に、母が「誰なのかわからない」と言う方から父宛に頂いた年賀状があった。
母は父の同級生と思うとか、適当な事を言っていたが、私が代筆で「父は亡くなった事、申し訳ないが母は記憶が定かではない事」を書いてお返事をだした。
先程、大垣から疲れて帰宅したら、その方から手紙とお香が届いていた。
父が読んだらきっと喜ぶだろうなぁと思わず涙がこぼれそうになる手紙。
引用させて頂きます。

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新しい年となりました。
年賀状をいただきました。ご主人・お父様の訃報に接しました。もはや3年近くになるのですね。改めてご冥福をお祈り致します。
自分は伊勢佐木町のレストランキラクで40年以上前にアルバイトをしていました神大の学生でした。何も知らない、接客の何たるかも知らぬノー天気な学生でした。いずれ就職後に襲ってくる接客の荒波にかろうじて踏みとどまれたのは、キラクでの経験とマスターの教えでした。
ある時、店に大勢のお客様で入口が混雑していましたので、思わず「只今満席です」とだけ言ったところ、次々とお客様が帰ってしまいました。マスターは「何故、お客様に椅子を用意して座ってお待ち頂く様にしないのか」と示唆されました。そこから自分の社会との関わりが見えてきました。その一件だけでなく、マスターには本当に父親も教えてくれない様な人生のあり方を優しく教えて頂きました。厨房のスタッフと賄い夜食を供に餐し、或いは夜中にスタッフ部屋で麻雀を楽しんだ事もありました。以来45年近くずっと年賀状だけのご挨拶を続けてきました。ここ3〜4年音信がありませんでしたので、まさかとは思っておりましたが、誠に残念です。
過日、馬車道に所用があったので、キラクを訪ねてみましたが、駐車場になっているのを見た時には、何とも言えない寂寥感に包まれて、こんな筈では…と思ったものでした。此処にあったんだよ!と誰かに訴えたい気分でした。今でもキラクの店内を思い浮かべる事が出来ます。厨房への通路も、シェフの得意顔も、マスターの満足そうな笑顔も、テーブルの配置も、思い出ばかりが去来します。
今は亡きマスターを偲び、ささやかではありますがお香を同封致します。
これからも年賀状だけのお付き合いになるかもしれませんが、お互いの元気を確認したいと思います。よろしくお付き合い下さい。
あと2週間もすると大寒です。寒さ厳しきなか、マダムはじめ皆様お元気でお過ごし下さい。
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パパ、こんな風にパパを思ってくれて、パパが築き上げた店の事を、大切な思い出としてずっと大事にし続けてくれた人がいらっしゃったという事実が、私は嬉しくて仕方ないです。
本当に感謝だね、パパ。

by kazu-chan1208 | 2017-01-09 22:52 | 家族 | Comments(0)


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